退所後の不安と悩み
退所後の不安と悩み
改めて、児童養護施設を退所した人へのインタビュー調査報告書(全国社会福祉協議会)を読ませていただきました。
直面する障壁とそれへの対応
私たち職員は、施設を卒園した子ども達から仕事をする中で、人間関係やコミュニケーションが難しいという声をよく耳にします。改めて退所した人へのインタビュー報告書を読み返すと、所々に孤独感を思わせる表現が垣間見れます。また仕事を続けること、コミュニケーションの難しさ、さらに仕事を辞めたあと、次を探すことの難しさ、社会生活において何が自分に求められるか、その気づきとしんどさも読み取れると思います。
児童養護施設を退所した人の実際の声
※退所した人へのインタビュー調査(全国社会福祉協議会)報告書をご参照
A君(男性)
働くことは、最初はしんどかった。働いて家賃を払ったりするのはしんどい。
Aちゃん(女性)
もともとの性質もあるが、人が苦手で、人のことをよく思えない。感じよく対応することができない。仲よくしようとしてもできない。お昼を一緒 に食べる人はいるが、すさんでいるような状態がずっと続いている。「自分自身が変わらないと、この先めんどうくさい」と思うが、方法がわからないからそのままになっている。
A君(男性)
仕事中にいらいらしたときに、どこかにあたる。たとえば、仕事の作業で 大きい音をだすこともある。相手に向かっていくのは苦手で、すぐ涙がで てしまう。弱い。けんかになりそうになると、自分が弱いとわかってしまう。でも、どこかで強くなりたいと思っている。誰かにあたってしまう。
A君(男性)
奨学金をもらいながら大学に通い、朝2時に起きて仕事をして、6時ごろ 終わって朝ごはんを食べて、1限がないときは寝て、あるときは9時から 授業だった。ハードだったが、やらないと生活できないから続いた。「やめたら自分は生活できなくなる、住むところも食べ物もなくなる。やめることはできない。仕事はつらいけれど、やめたらもっときつい。自分でやるしかない」と思った。
A君(男性)
大学時代からデパス(注:おだやかな鎮静剤)を飲んで、社会適応に苦しんできた。職場にはこのことについて知っている人と知らない人とがいる。2 週間に1度病院に行くために、月曜から金曜まで定時の仕事というのができないことも悩みである。主な相談相手はカウンセリングの先生。
Aちゃん(女性)
基本的に「誰かに相談する」という考えがないため、全部自分で解決しようとしてしんどいときもあった。相談の仕方がわからないので相談しないのだが、相手からみると「相談してくれない」「いってくれればよかった のに」ととられてしまい、相手が傷つくケースもある。そのことでまわり が傷ついているようすをみると、自分に欠点があるように思う。
A君(男性)
お世話になっている人からも、「人になつきにくい奴だ」といわれたことが ある。信頼しているし大好きな先輩であっても、どのように甘えればよいかわからない。相手からも、自分はそのようにみえるのだろうか。
A君(男性)
拒絶されるのが怖いから頼めず、相談せず自分でやろうとし、失敗する。 まわりの人は「相談してくれれば失敗しなくてすんだのに」というが、次もやはり自分でやろうとする。悪いときはこのサイクルにはまってしまうこともある。
施設を退所した子ども達にとっての社会とはどんなものなのか。個人的な見解ですが、苦痛を頑張って耐えているように感じられます。
講演会で登壇し、退所後の生活についてお話しする機会がございます。その際にこんなご意見を頂戴いたしました。
「社会に出て苦しいなんて当たり前だ!社会とはそんなもの。みんな耐えながら生活しているんだ。」と、講演会後、そのお方とお話をしてみると、想像を絶する大変な幼少期を過ごされていたそうです。でも自分自身で乗り越え、道を見つけたそうです。そして今は会社を経営しているそうです。(一例)
とても素晴らしいと感じましたし、尊敬に値します。
ですが、みんながみんなそのお方みたいに自分で道を見つけることができません。
その子のルーツはその子だけしか知り得ないのです。
自分自身と照らし合わせることが、相手にとって負担を負わせてしまうこともあるのです。
だからこそ私たち(スタッフ)は養育感ではなく、ワクワクできる未来感を大切にしております。
苦痛でしかない社会を耐えるより、本当にやりたいことができる社会だったら社会の見え方が変わるのではないでしょうか。
こうした問題を解決できる仕組みがあればいいよね!ではなく、仕組みがある!にしなくてはなりません。
動けば変わる!このような問題をできるようにテクノロジーを活用していけたらと考えております。
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オレンジの羽根募金
児童養護施設の子どもが安心できる社会づくりへ
「オレンジの羽根運動」は、児童養護施設の現場職員が発足した社会活動です。
入所中の子どもたち、卒園する子どもたちにとってより良い社会で生活するために児童養護施設を正しく知っていただき、
共に支える大人の輪をつくることが目的です。
そんな想いで、私たちはこの活動を行なっています。
多くのみなさまへ活動を周知されるご協力をよろしくおねがいします。
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【FM世田谷/放送中】はなわと岩崎ひろみの ON AIR もっち〜ラジオ
お笑いタレント“はなわ”と女優の“岩崎ひろみ” がお届けする『ON AIR もっち~ラジオ』♪” 子どもたちの“ワクワク♪”を、もっと大きく膨らまそう ”をテーマに、“はなわ”と“岩崎ひろみ”が、子育て経験も交えて面白おかしく元気にお届けします!
〈放送日時)毎週日曜日/11:00~11:15
〈パーソナリティ〉はなわ 岩崎ひろみ
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【公開中】Youtubeチャンネル
日本児童養護施設財団のYoutubeチャンネルにて、『もっち〜とあっき〜が行く施設長インタビュー』『応援メッセージ』『ON AIR もっち〜ラジオのアーカイブ』『寄付サイト』のPVが公開中です。チャンネル登録して頂けますと幸いです。
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【無料掲載】卒園生対象 企業求人サイト
もっち〜ナビは就職を希望する子どもたちの選択肢が広がるように願いを込めて運営している児童養護施設専門の求人サイトです。施設で暮らす若さ溢れる子どもたちを積極的に採用したい企業のみが求人掲載をしているので、これから施設を退所する高校生や一度施設を退所した卒園児が再就職を目指す場合に活用してください。求人情報にある企業の窓口にご連絡をしていただけますと、求人担当から案内を受けることができます。この事業は営利活動ではないため、掲載課金、採用課金、応募課金、オプション課金は一切しておりません。掲載したい企業も随時募集しております。
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【開館中】日本子ども未来展 オンライン美術館
日本子ども未来展は、児童養護施設の子どもたちの豊かな成長を願うと共に、子どもたちが描く絵画を通して日々の生活だけでなく、子どもたちがそれぞれ持つ「夢」や「希望」を自由に表現する事で自分たちの将来について考える「きっかけ」を持ってもらうことを目的に実施しております。是非ご入館してみてください。子どもたちの素敵な感性や表現力の高さを垣間見れるので手を差し伸べたくなると思います。
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【寄付】あしながサンタ
2019年8月に全国の児童養護施設(607施設)へ、クリスマスに関してのアンケート調査を実施しました。アンケート調査により、1施設あたりの子ども1人に対してのクリスマスプレゼント代の平均予算(約3000円)がわかりました。そこで分かったのが、どの施設も子どもたちが施設生活を送る上で、不自由がない生活を送らせるために、クリスマスの予算を、習い事、衣服費、小遣い、ユニット旅費などに、適切に振り分けられていることがわかりました。ここに私たちがサポートできることがあると考えました。
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地域のスポンサーを必要としております。